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第1回 『飽食の時代の肝臓病』とは

[2020.06.05]

今年の冬は、ノロウイルス感染による急性胃腸炎が大流行しています。最近は終息に向かいつつありますが、しばらくは用心が必要ですので注意を心がけてください。

これから3月頃にかけては、いよいよインフルエンザが流行する時期ですので外出後は手洗い・うがいを行い、加湿器等にて室内の乾燥を避けるようにしましょう。また、38℃以上の突然の高熱、関節痛、筋肉痛、全身倦怠感などの症状が出現したら早急に医療機関を受診してインフルエンザ検査を行い、適切な治療をお受けください。

今回取り上げるコラムは、私の専門領域である肝臓の病気についてです。
肝臓病には、B型・C型肝炎ウイルス感染によるウイルス性肝炎や生活習慣(飲酒・暴食・肥満など)に伴う脂肪肝、アルコール性肝障害などがよく知られています。このような生活習慣にともなう肝障害のうちで、飽食の時代に増加してきている肝臓病があります。それは、『非アルコール性脂肪性肝炎』(non- alcoholic steatohepatitis;NASH)とよばれています。

この病気は、字の如くに飲酒の嗜好はない方のうち、暴食、肥満、糖尿病、運動不足などの病態を原因として発症する肝炎です。この病気が怖いのは発病初期には、ほとんどが自覚症状はありません。しかし、欧米とくに米国では、肥満・糖尿病の患者さんの中に『非アルコール性脂肪性肝炎』が発症し、放置すると肝硬変・肝癌にもいたる進行性の肝炎として報告されています。本邦でも検診などで脂肪肝と診断されていた方のうちで、『非アルコール性脂肪性肝炎』の患者さんが潜んでいると考えられており、最近注目されているメタボリック症候群(内臓脂肪症候群)と同様に注意が必要な病気です。

当クリニックでは、血液検査・腹部超音波検査により鑑別診断を行い、疑いが強い方については精査を勧めています。また、同時に管理栄養士による食事・運動療法を基本に体質改善を基本とした治療を行っていますので、検診などで肝機能障害を指摘された方は自覚症状がないからと自己判断して放置せずにそれぞれ医療機関に受診してください。

院長 小室 理

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