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第2回 『プライマリケア』とは

[2020.06.05]

『病気を診ずして病人を診よ』我が母校、東京慈恵会医科大学の学祖 高木兼寛先生が述べられた言葉であり母校の校訓です。

昨今の医療ではいわゆる専門医(スペシャリスト)が育成するシステムは大学病院などの研修制度、医局制度などにより育ってきていますが、むしろ地域医療においてはプライマリケア(初期診療、総合診療)を行う医師が必要とされています。しかし我が国ではプライマリケアを行う総合医(ジェネラリスト)を育てるシステムは未熟です。

欧米では、家庭医(family physician)、一般医(generalpractitioner)などと呼ばれプライマリケア専門の医師が既に認知されています。ジェネラリストは腹痛、食欲不振、頭痛、腰痛などの症状などのさまざまな訴えのある患者さん対して鑑別診断(どういった病気、病態が原因であるかを判断する)を行いその場で治療が可能か、または専門治療や検査が必要か否か判断します。また、生活習慣病の治療や予防的医学の啓蒙(生活習慣病、予防接種などの指導など)も行います。さらに、身体的問題だけでなく、心理、社会的問題にも配慮することができる医師でなければなりません。その医師像は、まさに『病気を診ずして病人を診よ』の言葉にあてはまります。

私も大学病院在籍中には消化器、肝臓疾患の患者さんを中心として診療を行ってきましたが、派遣病院では一般内科医として総合医(ジェネラリスト)となるべく診療を行ってきました。開業医として1年半がたちましたが、医師としてはまだまだ未熟であり、患者さんから学ばせてもらうことも多々あり、果たして患者さんの立場にたって医療を行ってきたかと自問自答することもあります。そんな時は学祖の言葉を思い出して診療を行っています。今後も患者さんの言葉に耳を傾けられる医師となれるよう努力したいと思います。

院長 小室 理

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