第4回 『在宅医療の現状』とは
ご無沙汰していました。
在宅療養支援診療所として在宅医療を始めて1年が経ちました。当院スタッフや連携機関の方のお蔭様でまずは無難なスタートをきることができました。
外来、入院患者さんに加え在宅療養の患者さんを診療していく中で、病気以外にそれぞれ患者さんが抱えている家庭環境を始めとした様々な問題がみえてきます。
私たちは在宅療養の患者さんに対して、診察や病状説明をするほかに、介護者の方に少しの時間でも介護の悩みや日常生活の話しを聞いたりすることで患者さんやご家族が安心していただけることを実感しています。これは、病院での外来診療ではなかなか得られない体験です。いまの医療環境(医師不足・患者さんの大病院嗜好など)の中で互いの信頼関係を築く上では、とても大切な部分ですが実行に移すことは難しい課題ではないかと思います。
当院にて、平成19年に在宅看取りをした患者さんは8名(グループホーム2名含む、末期癌患者 7名)でした。平成18年度の全国における在宅死は約12%ですが、昭和30年代には約80%の方が自宅で亡くなっていました。この数字は医療環境や家庭環境の変化によるものですが、一方では、最近の日本医師会の行ったアンケート調査では約3割の方が在宅死を望んでいるとの結果もあります。
医療制度改革法案により在宅医療の充実がうたわれていますが、実際に現場で働いている我々からすると医師、看護師、介護福祉士などのボランティア精神に頼っている現状では、今後の超高齢化社会を迎えるまでに制度破綻がくるのは必然と思われます。医療・介護環境の整備には国民の理解のもと必要な財政を確保することにより、医療・介護関係者に対して適切な報酬や手当てを与える仕組みが必要ではないでしょうか?
今年もはや1ヶ月が経ちましたが正月早々から急患往診などで多忙な日々です。また、新たにALS(筋萎縮性側索硬化症)で呼吸器管理をされている患者さんの訪問診療も開始しました。
今後、在宅医療を支える上では医師のみならず訪問看護師さんが必要ですが当地域ではまだまだ看護師さんが不足しています。当院では、訪問看護師さんを募集していますので興味のある方はご連絡ください。
院長 小室 理